震災学習プログラムのご案内

更新日:2023年03月22日

未来の「いのち」へ生かす“時速3km”の震災学習

平成23年3月11日、東日本大震災が発生。地震による大津波は野田村を襲いました。

甚大な被害を受けたなりわい、住まい、そして人。

そこから、いかにして現在の野田村となったのか。

実際に歩きながら体感し、災害との向き合い方を考える未来志向の震災学習、それが野田村の防災ウォーク&ワークショッププログラムです。

イントロダクション

逃げ遅れた場合の指定緊急避難場所でもある野田村保健センター3階復興展示室

逃げ遅れた場合の指定緊急避難場所(地震・津波)でもある野田村保健センター3階、復興展示室

野田村保健センター3階に設けられている復興展示室。ここには、震災当時の写真や映像、震災からの復興、復旧に関する資料が展示されています。そのなかで、当日の津波や報道の映像も観ることも可能です。

しかし、資料のみが展示されているわけではありません。部屋の中央に置かれたジオラマこそ、被災者の「心の復興」に大きく貢献した模型。被災した住民たちによる「思い出の野田村」を基に作られました。

それぞれの「思い出」ですから、被災前のある時点を完全に再現したジオラマ、というわけではありません。ある方にとっての子どもの頃の遊び場や、またある方にとっての青春の1ページなどなど……住民の想いが混在しています。

大津波に襲われ、大きく様変わりした野田村の街。ジオラマを眺めながら、これから歩く街がどのような思い出を持っているのかに想いを馳せる時間です。

防災ウォーク

東日本大震災による津波被害や復旧、復興に関するスポットを、現地で見学。道を歩いて、その場の空気を肌で感じながら学習します。

野田漁港エリア

甚大な被害を受けたものの、見事に復活を遂げた野田漁港

甚大な被害を受けたものの、見事に復活を遂げた野田漁港

野田村で一番大きな港です。市場やホタテの蓄養施設、震災前にはのだ塩工房もここにありました。

災いをもたらした海。恵みや豊かさをもたらす海。その二面性を感じながら、なりわいの再生について学ぶことができるエリアです。

振り向けば、数千万年前に形成された美しい地層が観られる大唐の倉、藩政時代に外来船の監視場所であったお台場公園。海と山、どちらも感じられるスポットです。

新町エリア

その名のとおり、野田村で一番新しい地区、新町地区

その名のとおり、野田村で一番新しい地区、新町地区

震災前、市街地に住んでいた皆さん。その多くが大津波被害によって住居を奪われました。新たな住まいの確保が急務であるなか、山を切り開いて新たに造られたのがこの新町地区です。

実際に歩いてみると、住民間のプライバシーへの配慮やコミュニティの再生を考慮し工夫されたデザインが随所に見られます。

震災前よりもより良い暮らしと街づくり。いわゆるビルドバックベターの考え方を学ぶことができます。

十府ヶ浦公園エリア

散歩のコースとしても人気の十府ヶ浦公園遊歩道(第三堤防)

散歩のコースとしても人気の十府ヶ浦公園遊歩道(第三堤防)

大津波は、いつ襲ってくるかわかりません。次にその時を迎えたとき、住民の命と財産を守ることが求められます。

震災後に増強された防潮堤三陸鉄道の線路と国道45号線、そして十府ヶ浦公園に沿って作られている盛土。この3つの堤防機能を緩衝地帯として活用することで、避難の時間を確保します。

平常時には、子どもからお年寄りまで楽しめる公園。しかし、防災まちづくりの要というもうひとつの顔もあるのです。

下安家エリア

応急仮設。世帯で暮らすには手狭だが、ここに住まざるを得なかった方もいた

応急仮設。世帯で暮らすには手狭だが、ここに住まざるを得なかった方もいた

安家川の下流に位置する下安家地区。川と海が近いこのエリアには、サケやマスの孵化場と漁港があります。

この下安家地区もまた、大津波によって甚大な被害を受けました。地区内の高台で営業している国民宿舎えぼし荘が避難所となり、住居を失った方が過ごしました。そしてすぐに応急仮設住宅が建設され、徐々に移動。この応急仮設住宅の一部は現在も震災伝承施設として残されています。

また、下安家漁港から避難所まで、その避難経路を実際に歩き、時間を体感することができます。

米田エリア

毎年3月11日にはこの場所で追悼行事が行われる

毎年3月11日にはこの場所で追悼行事が行われる

22.5メートル。津波の到達高であるその数字が表示されているのが米田水門です。そして、被災の様子が生々しく伝わってくる米田歩道橋の一部。国道45号線の水門付近に架設されていたこの歩道橋。津波の力によって破壊されたその姿が津波の威力・恐ろしさを現在に伝えています。

北へ少し進むと見えてくるのが、造成された高台。海を臨むように鎮座する東日本大震災大津波記念碑です。津波被害を防ぐ思想や文化を後世に語り継ぐことを祈念して建てられました。多くの犠牲から得た教訓が刻み込まれ、記憶を末永く伝承していきます。

ワークショップ

自分の足で歩き、自分の肌で感じた空気。防災ウォークで学んだ野田村を踏まえて、「自分ならどう考えるだろうか、どう動くだろうか」を考えるのが、事後ワークショッププログラムです。

クロスロードワークショップ

この問いに不正解はない

この問いに不正解はない

「あなたは野田村民です。沿岸部に住んでいましたが、津波によって流されてしまいました。しばらく経ち、村は復興。避難所生活も終わり、新しい家を建てられるまでになりました。さて、あなたはもともと住んでいた場所に再び家を建てますか?」

このような、正解がひとつではない問いに対して、個々で考え、参加者全員で検討します。

災害時に起こり得る悩ましい選択。どれだけ難しいことでも意思決定をしなければならない緊急時。参加者どうしで考えを伝えあうことで、多様な価値観に気づいたり、より望ましい選択肢を発見しながら、自分の判断・決断を磨くことができます。

災害シミュレーション

考え、話し合うと準備の質も変わってくる

考え、話し合うと準備の質も変わってくる

災害発生から緊急避難、そして避難所での生活、日常への復帰。その数日から数週間を時系列に沿ってシミュレーションします。

発災直後に発生するであろう問題などを挙げ、それに対する対処を考える。そこから2時間後、避難所に到着したら?1日経過した後は?1週間後、備えが尽きたときにどうする?など…。1週間後の問題を解決するため、発災直後にできることがあるかもしれません。

参加者どうしで話し合い、可視化することにより、行動や考えがより実践的に変化することが期待できます。

歩く。感じる。考える。

伝えたいのは、安心安全で幸せな明るい未来を築く、ほんの少しの防災意識です。

歩くスピードで見て聞いて感じる。感じたことを考える。五感をフル活用する質の高い学習の場、野田村の震災学習プログラムをぜひご体感ください。

震災学習をご希望の学校、企業団体の皆さまへ

ご希望の所要時間やテーマに合わせて、内容をご提案させていただきます。ぜひお気軽にお問い合わせください。(現在、個人によるお申し込みには対応しておりませんので、ご了承ください)

添付のパンフレットもご参照ください。

この記事に関するお問い合わせ先

野田村役場 未来づくり推進課 移住定住観光班
電話番号:0194-78-2963
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